年齢を重ねると、腰椎や大腿骨頸部などの運動を司る部位の骨量が減少するとともに、筋肉量が減少し、筋力が低下します。骨が脆くなると、重い荷物を持ったり、転んだりした時の衝撃で大腿骨の骨折を起こしやすくなります。一方、筋力が著しく低下した場合、日常生活に支障をきたす恐れがあります。特大腿骨の骨折については将来寝たきりになる要因とも考えられています。筋力や大腿骨を意識した運動は健康長寿の秘訣でもあり、老人ホームのレクリエーションでは体操やストレッチなどの簡単に実践できる運動が取り入れられています。ここでは、高齢者にとって運動がもたらすメリットについて考えていきましょう。
運動がもたらすメリット
若者にとって運動と言えば減量のための手段というイメージが強いでしょう。一方で、高齢者の場合、運動は日々の生活を豊かにする非常に意味のあるものです。適度な運動を取り入れることで、身体機能が改善し、日常生活の何気ない動作が楽になるからです。とはいえ、運動を行うためにジムに通う必要はありません。ウォーキングや体操などでも筋肉や大腿骨は十分鍛えられます。
運動を通じて享受できるメリットは身体面に限りません。身体を動かすことで、精神的な安定を得ることもできます。実際、運動を継続的に行っている高齢者はそうでない高齢者に比べ、抑うつ状態になりにくいことが医学的に証明されています。